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情報・通信
2021/07/20

「超データ社会」のネットインフラの課題と未来(前編)

  • 未来都市

都市のIoT化がますます加速するなか、ネットワークインフラは大量のトラフィックを扱うことになります。それを支える技術を研究しているのが、IoT&情報通信技術研究ユニットです。大容量データが飛び交うネットワークをどのように構築し、運用していくのか。また、それらによってどのような都市機能が期待できるのか。同ユニットの塩本公平教授と柴田随道教授へのインタビューを2回にわたってお送りします。

塩本公平先生、柴田随道先生

塩本公平教授(左)と柴田随道教授(右)

キーワードは「クラウド・エッジコンピューティング」と「5G」

塩本教授
「未来都市研究機構」が設立してから5年ほど経過していますが、2020年4月からフェーズ2に移行し、研究ユニットが再編成されました。それにともなって新たに設立されたのが、IoT&情報通信技術研究ユニットです。

現在、都市の情報通信ネットワークは、大手IT企業などが提供するクラウドシステムの恩恵を受けています。しかし、中央集権型のクラウドシステムでは、ネットワークの遅延や障害が発生するリスクが高まり、リアルタイム性や高信頼性を要求されるサービスの提供が難しくなる可能性があります。今後は、基地局などで必要な情報をアプリケーションに振り分け、レスポンスを早めるエッジコンピューティングを導入したネットワークが主流になると見込まれます。

柴田教授
第5世代移動通信システム(5G)の導入も世界的に加速しています。5Gの大きな特徴としては、「高速大容量化」「遅延が少ない」「端末の収容量が多い」の3つがあります。これによって、さまざまな分野でIoT化が急速に普及し、データ量が爆発的に増えていく状況がトレンドとして読めます。

塩本教授
このようなクラウド・エッジコンピューティングと5Gによって、さまざまなものやサービスの間で大容量データがやりとりされる「超データ社会」が目前に迫っています。その社会を支えるための「コンピューティングインフラ基盤の運用管理」や、新たな「IoTサービスの創出」をテーマに、当ユニットでは研究を進めています。

センサーネットワーク運用に必要なワイヤレス給電などを研究

柴田教授
私が取り組んでいるのは、ハード寄りの分野であるセンサーネットワークについてです。各センサーから得た情報を、エッジの端末でいったんデータを加工し、サーバやデータセンタへ持っていくという、クラウド・エッジコンピューティングの基盤となる領域を扱っています。

IoTを支えるネットワークコンピューティング

直近で取り組んでいる課題は3つあります。1つは、センサーへのワイヤレス給電に関して。このユニット設立前の2019年から継続的に取り組んでいます。現在、固定された場所へのワイヤレス給電は可能となっています。スマートフォンの接触式の充電器など、実用化されているものもあります。しかし、離れた場所に点在しているセンサーに対し、効率的に電気を供給する方法は確立されていません。このハードルの高い課題を解決することで、クラウド・エッジコンピューティングへの大きな貢献になると考えます。

次に取り組んでいるのが、端末からの電波強度の分析による位置情報の特定です。分析にはディープラーニングを活用します。現在、アウトドアの場合、位置情報はGPSシステムで取得可能ですが、屋内では利用できないのがデメリットでした。しかし、電波のディープラーニング分析によって屋内でも正確な位置情報を取得できます。活用例としては、高齢者施設での見守りサービスなどが考えられます。

最後の1つは、地中に空洞ができているかどうかをマイクロ波で測定するセンサーネットワークの構築です。分析には機械学習を活用し、空洞の深さや規模を測定していきます。近年、上下水道工事などによる道路の陥没事故が頻発しています。外からはわからない地中の様子をIoTによって常時監視できれば、そのような事故も未然に防げるかもしれません。

柴田随道

これらの3つに取り組みつつ、他の応用研究にも取り組んでいきます。技術を深堀りするというところでは、5Gも活用していきます。それをエッジコンピューティングで処理して、アプリケーションを通じてフィードバックをかけていければと思っています。

パケットデータなどの分析により、ネットワークの負荷を予測

塩本教授
私は、「コンピューティングインフラ基盤の運用管理技術」の分野が専門です。テーマの1つとして、クラウドのコンピュータにどれぐらい負荷がかかるのか予測する技術を研究しています。有線LANなどを用いる固定された設備からの通信は11時から14時に通信量のピークが立つ、インターネットなら夜にアクセスが増えるなど、データ量の増減にある程度のパターンがありました。

塩本公平

しかし、モバイル端末での通信は、人とともに動き、トラフィックも不規則になります。これらを、人の動きを監視しながら、単にトラフィックの状況を見るだけでなく、マルチモーダルな情報を駆使し、ベイズ推定という数学的な理論を使って予測しています。

そのほか、応用的な分野として、パケットデータの通信パターンを分析し、ユーザに最適な通信帯域を割り当てる方法を研究しています。ストリーミングで動画視聴している人とブラウジングしている人だと、ネットワークのタスクが違います。ストリーミングだと大容量の通信を安定的に出すことが必要ですが、ブラウジングはレスポンスの良さが求められます。それがいまは暗号通信になっているので、ユーザがどんなコンテンツを利用しているのかわからなくなっているのです。

そのような暗号化された通信トラフィックを通信事業者がうまく制御するために、通信パターンからの分析を試みています。また、分析には機械学習を用います。課題としては、機械学習には非常にたくさんのデータが必要になること。それをできるだけ少ないデータで学習効率を上げるというアプローチを目指しています。

人の流れを把握する研究も進めています。これは、何時何分に人がどのあたりに集まっているか、クラスタリングという機械学習によって予測するというもの。それによってモバイル通信の資源割り当てへの応用を目指しています。こちらの研究は、ベンチャー企業と連携して進めています。

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