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建築・土木
2019/08/20

未来都市研究機構第7回セミナー インフラ領域(第144回総研セミナー) セミナーレポート3

  • 未来都市

2019年3月13日、東京都市大学二子玉川夢キャンパス(東京・世田谷区)にて、「未来都市研究機構 第7回セミナー インフラ領域(第144回総研セミナー)」が開催されました。

当記事ではセミナーの後半に行われた地震など突発的な災害についての2つの発表、三上貴仁准教授による「2018年インドネシア・スラウェシ島地震による津波災害の調査」と吉田郁政教授による「津波避難シミュレーションと防災教育について」を紹介します。

縦ずれ断層型地震だけが、津波の発生要因ではない

後半の1題目は、三上貴仁准教授の発表「2018年インドネシア・スラウェシ島地震による津波災害の調査」です。三上准教授は、海岸で起こる津波や高潮、海岸侵食などの調査・研究を行っています。今回のセミナーでは、2018年9月にインドネシア・スラウェシ島で発生したマグニチュード7.5の地震による津波災害について発表しました。この地震およびそれに伴う津波や地盤災害などにより、死者・行方不明者が3,000人以上という大きな被害が出ました。

三上貴仁准教授

東日本大震災を始め、多くの津波の主な発生要因は海底で生じた大きな地震による広範囲にわたる海底面の上下の変動ですが、稀に、海底や海岸における火山活動、もしくは大規模な地すべり、斜面崩壊などによっても発生することがあります。先のスラウェシ島地震で発生した津波は、地震による海底面の変動や沿岸域での地すべりなど複数の要因によって発生したものと考えられると三上准教授はいいます。

災害発生から約1カ月後に現地調査を実施し、津波の高さの計測、建物への被害の観察、津波到達時刻や避難状況に関する聞き取り調査を行ったところ、パル湾内および湾より北の震源近くまでの広い範囲に津波が襲来しており、被害の大きかった湾奥部では4~6mの津波が襲来していたことが判明。また、地震発生から津波の襲来まで数分から数十分ほどの時間しかなかったこともわかりました。

三上貴仁准教授

三上准教授は「沿岸の各地域において、主な発生要因である縦ずれ断層型地震に伴う津波だけではなく、他の要因についても特徴の把握やリスクの再検討が必要になってくるのでは」と発表をまとめました。

津波避難シミュレーションと防災教育について

吉田教授は、構造物の健全度評価、確率的劣化予測など確率を用いた様々なシミュレーションを研究として行っています。

吉田郁政教授

津波対策は、防潮堤の建設などの「ハード」と、移転や避難計画などの「ソフト」の2つに分かれますが、それぞれには長所と短所があり、結果、ハードとソフトを組み合わせた総合的な津波防災が検討されています。例えば防潮堤は比較的頻度の高い5m程度の津波にはある程度有効ですが、東日本大震災のような最大クラスとなるとほぼ絶望的。低頻度の大きな津波への対策としては、移転や避難計画が不可欠です。

そこで津波避難計画を適切に作り、被害を減らすという努力が必要になりますが、住民に円滑な避難行動を促すためには、避難先、避難手段、避難経路などを明確に設定しなければいけません。
「高齢者など歩行速度が遅い人もいますし、構造物の倒壊、観光客による交通量の増加といったことも発生する可能性があります。こういった様々な状況に対してどのような避難計画を立てればいいのかという場合に避難シミュレーションが有効だと考え、研究を始めました」と吉田教授。

A市という沿岸地域の町を対象に、東京大学地震研究所で開発された総合地震シミュレータ(IES)のうちの「対応行動シミュレーション」を使用。マルチエージェントシステムで、一人ひとりの人の動きをコンピューター上に再現します。

今回は2018年度に行われた研究の中から「津波浸水・避難シミュレーションの結果と分析」が紹介されました。7,321人(うち高齢者2,781人)の避難者が高台に徒歩で避難するというシミュレーションで、最短経路で逃げるという設定の場合、被災者は639人(うち高齢者408人)でしたが、設定を最短経路ではなく海沿いを避けて逃げると変えたところ被災者は70人(うち高齢者67人)という結果が出ました。内陸避難により被災者は9割減りましたが、被災者のほとんどが高齢者であるという課題も明らかになりました。

またこの研究における避難シミュレーション結果は、A市で避難訓練を実施した際に、中学生を対象にした防災教育で教材として活用されています。

吉田郁政教授

「シミュレーションは多くのケーススタディができるというメリットがありますが、より現実的なものとするために、現場の情報を反映させ、それに合った避難シミュレーションを構築する必要があります。また避難計画を作る上でシミュレーションは有効ですが、将来の予測を可視化する、また過去の被害を可視化するという意味で防災教育の上でも非常に重要だと考えています」とし、吉田教授は発表を結びました。

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