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環境・エネルギー
2022/09/02

地域課題解決、エリアマネジメント…、未来都市創生に期待されるグリーンインフラとは?

  • 未来都市

東京都市大学では“未来都市研究の都市大”をコンセプトに掲げ、各領域で都市研究を重ねてきました。本記事では2020年度から2021年度にかけて活動した「グリーン・インフラ研究ユニット」の環境学部 飯島健太郎教授、横田樹広教授、丹羽由佳理准教授にこれまでの研究成果と今後の展望について聞きました。

グリーンインフラユニットの教授陣

緑や土地利用から課題を解決し、未来社会を目指す「グリーンインフラ」
<飯島健太郎 ユニット長 環境学部 教授>

飯島教授:私の専門は環境緑地学で、都市緑地の機能や緑地がもたらす健康などを研究のテーマにしており、授業でもその分野を扱っています。

グリーンインフラユニットの研究を地理的、土地利用的な階層性から見ると、縦軸に国土、地方、都市、地域、街区、都市施設、横軸に臨海部、都心部、都市農地、流域、崖線、里山的空間と捉えることが可能です。このように水平展開すると、様々な規模や用途に鑑みたグリーンインフラがあると考えられます。また、緑地に関する法的整備の影響もあり、近年グリーンインフラは機能性だけでなく、効果的な利活用とどのように維持管理するかということも重要な課題となっています。

飯島教授

高度経済成長期に整備された構造物の改修工事のラッシュを迎え、今後は新たな土地の用途転換や複合機能化する取り組みも各所で見られると予想できます。その中で暫定土地利用という概念があり、地域防災をハードで対応するだけではなく、地域コミュニティの中で行うという動きもあります。それらの中核となるのがグリーンインフラです。緑地を核とした地域の人々を巻き込んだイベント活動なども目立ち始めてきました。

ここからは先生方が取り組まれているグリーンインフラをテーマとしたプロジェクトや研究について、事例を出しながらお話していただけたらと思います。

エコロジカルプランニングの観点からのグリーンインフラとは
<横田樹広 環境学部 教授>

横田教授:私は都市生態計画を専門としています。従来の自然環境の対象は保全でしたが、近年では管理・再生が軸となるという考え方にシフトしています。その中で、自然環境の恵みを活かしたまちづくりが、地域にどのような豊かさをもたらすのかを研究してきました。研究においてはエビデンスを積むのが重要と思っており、住民の方々が持つ緑への意識、緑の改善が水循環や生き物に与える効果などを調査してきました。

生き物にとっての環境のつながりを示す概念として「エコロジカルネットワーク」がありますが、実際に生き物と都市の環境を線引きするのは難しいと言えます。例えば、生き物が都市に戻ってくるケースもあり、そうなると自然と都市を切り離すのではなく、自然を上手く組み込むことが大事であると考えられるでしょう。従来は、自然を改変させないという考え方が一般的でしたが、自然と都市の関係性が変化している中では、生態系の質や機能を適切に管理し向上していくことが重要と思います。

横田教授

また、横浜市旭区では、地域住民と行政・企業と協働しながら、流域のグリーンインフラのビジョンづくりに関わっています。中上流部の市街化によって流れ出す雨水が増大し、内水氾濫リスクがある支流域で、ワークショップが開かれ、雨水流出量や下水道の位置などの情報を活用して、必要なグリーンインフラについて議論が重ねられました。そこでは、雨水を活用しながら生態系を再生するデザインも提案され、課題や要望の共有をしながらグリーンインフラを活用するアクションを具体化しています。都市生態計画の一環として考え、自然の恵みをベースに街をデザインする事例としてご紹介させていただきました。

都市計画の観点からのグリーンインフラの重要性とは?
<丹羽由佳理 環境学部 准教授>

丹羽准教授:私は建築・都市計画を専門に研究を行っています。主に都市の災害耐性の向上、都市再開発にともなうエリアマネジメントをテーマに扱ってきました。

私は学生時代に主に建築空間や都市空間をいかに上手くプランニングするかということを学んできました。主に更地を対象に、新しい空間を設計していくという学びでした。しかし現在は、新たに空間をつくるというプランニング手法よりも、既存の空間をベースとした再生のあり方をデザインし、それをいかにマネジメントしていくかが重要です。また、これからの都市計画は謙虚でいるべきというのが私の考えです。人間を中心とした都市をつくるというよりも「人間が偶然その場所に居させてもらっている」というような感覚を持つことが大切ではないかと感じています。

グリーンインフラユニットのインタビューの様子

大手不動産会社の方々と未来都市の在り方を考えるプロジェクトを共同で進めています。その中で、軸となるのがエリアマネジメントです。東京の大丸有(大手町・丸の内・有楽町)や六本木などのまちづくりでは、各所でグリーンインフラやグリーンコミュニティがキーワードになっています。コロナの影響により、屋外空間のニーズが高まっていることからも、自然と共存したまちづくりは今後も焦点となると考えます。

都市再開発に携わっている実務家の方々と協働しながら、社会に役立つ調査研究を丁寧かつ謙虚に進めていきたいです。

自然の中に寄り所をつくるというような社会や環境をつくっていくことが今後の課題

グリーンインフラユニットのインタビューの様子

横田教授:気候変動への人々の意識は変わりつつあるものの、生物多様性に対してはあまり変化が見られないように思えます。ですが今後、日本の人口がどんどん減り続け、街と自然の境界が変わっていくにあたって、やはり生物多様性の劣化をきちんと考える必要があると言えます。ここで重要となるのは、「自然の恵みに投資する」ことだと私は考えます。これは「グリーンインフラへの投資」という考え方で、欧米が先行していましたが、近年は国内でも自然の恵みへの支払いの仕組みが増えています。ただ、下流の都市に住む私たちがどの範囲の自然に投資できているかどうかというと、直接消費する水資源を生み出す自然をとってみても、上流と十分につながりを持てていません。そのつながりを取り戻すというのが今後不可欠になってくるのだと確信しています。自分たちが依存している自然の恵みや環境の豊かさをきちんと認識できる人が多くなるほど、結果的に良い循環になってくるのではないでしょうか。日常の暮らしの中で生態系にリアルにつながる機会を持ち、自然の中に寄り所をつくるというような社会や環境をつくっていくことが今後の課題と言えるはずです。

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