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建築・土木
2019/05/20

公民学連携によるアーバンデザインの実践とコミュニケーション

  • 未来都市

東京都市大学都市生活学部都市生活学科講師・アーバンデザインセンター坂井副センター長の中島伸氏は、「公・民・学連携によるアーバンデザインの実践とコミュニケーション」をテーマに、まちづくりを主導するアーバンデザインセンター(UDC)について報告した。

中島伸講師

まちづくりの拠点アーバンデザインセンターとは

時代は今、大きな転換期にあり、成長から成熟の時代へとシフトしてきている。高度経済成長期以降の20世紀は、人口増加による市街地の拡大などを背景に、都市が発展し、個々に頑張れば全体が豊かになる時代であった。対して21世紀は少子高齢化や人口減少が進み、まちや都市の形が急激に変化してきている。このような社会背景のなかで成熟した都市を目指すには、どのように対応していけばよいのだろうか。

まちづくりの研究拠点として、「アーバンデザインセンター(以下UDC)」が注目されている。UDCは「公・民・学連携のまちづくりの拠点・組織」で、故・北沢猛氏(東京大学教授)が提唱してスタートした。魅力あるまちづくりを継続的に推進する拠点として期待されており、日本全国で設立が進んでいる。現時点(2018年)で全国に19のUDCがあり、今後も増える予定だ。

中島伸講師

UDCは、「公的機関(自治体など)」・「民間(企業、NPOなど)」・「大学(教育機関など)」が「空間(施設運営費)」、「人(人件費)」、「金(活動資金)」を出し合い、共同運営することで成り立つ。
人口減少時代の都市経営やまちづくりに必要なのは公・民・学の「協働」だ。協働すれば各主体の強みを持ち寄り、弱みを補い合うことができる。税収・利益・人口すべてが減少傾向にある現代では、自治体も企業も住民も単独で魅力的なまちづくりを推進するのは難しい。しかし3つの主体が集えば、それも実現可能なはずだ。つまりこれからのまちづくりに向けたひとつの解決策として、UDCは重要な役割を担っている。

アーバンデザインセンター(UDC)の強み

UDCの強みは、公・民・学による持ち寄り型の共同責任運営にある。3者それぞれの立場を活かし、課題・プロジェクトに応じて臨機応変に対応できるのは利点だ。また多分野の専門性を持つスタッフが主導し、密に連携することで、スピーディーに物事を動かすことも可能だ。

UDCを置く場所にもポイントがある。シンボリックでオープンな拠点(場所)に施設を置くことで、人・情報が集まり、活動が生まれる。また目を引く施設であれば、UDCという組織が地域の人々に「実体」として認識されやすくなる。地域の人に見える・見せられる活動ができれば、共感を呼びやすくなるだろう。

このような強みを活かしながら、多様なコミュニケーションのなかで共感を生む「アーバンデザイン」や、「まちづくりのストーリー(ブランディング)」を実現させる拠点として、全国のUDCは機能している。

歴史的な町並みを対象にした全国初のUDC「アーバンデザインセンター坂井」

2018年9月、全国で17番目となる「一般社団法人アーバンデザインセンター坂井(UDCS)」(9月26日法人登記完了)が誕生した。北陸初のUDCは、福井県坂井市三国町の旧市街地に拠点を置き、本格的に活動を開始している。UDCのなかでも、歴史的な町並みを対象にしている拠点は初めてだ。

アーバンデザインセンター坂井ー空き家をまちづくりの拠点に再生

アーバンデザインセンター坂井ー空き家をまちづくりの拠点に再生

坂井市は、福井県嶺北地方に位置する全人口約9.2万人の都市。2006年に三国町、春江町、坂井町、丸岡町が合併し、今の坂井市になった。福井市から坂井市への人口流入も終わり、今や人口減少の局面にある。

UDCSが拠点を置く三国町は、九頭竜川沿いに歴史的な町並み(旧市街地)が続き、北陸三大祭として名高い「三国祭」などの伝統が根付く魅力的な町である。有名観光地「東尋坊」にも近い。しかし、産業の衰退や少子高齢化、人口減少のほか、歴史・文化の維持の難しさ、空き家・空き地の増加よる歴史的町並みの消失危機といった多くの課題を抱えている。旧市街地の空き家は約260件、全体の約21%(2016東大調査)を占める。

UDCSを構成する主体

UDCSを構成する主体

UDCSは、この人口約2.1万人の三国町をモデル地区とし、北前船の寄港地で繁栄した三国の旧市街地を重点地区に位置づけて、「空き家・空き地の再生」によるまちづくりの研究を進めている。基本方針は、「地域で生きる人々が活き活きと暮らす活力を創出する」ことだ。

「空き家・空き地の再生」を軸に、たとえば空き町家をリデザインし持続的に再生させることができれば、古い町並みや歴史、文化を継承していくことも可能だ。それによって住環境の向上や課題解決にもつながれば、地域の活性化や活力を生み出すことにもつながるだろう。
旧市街地にあるUDCSの施設自体も、築130年の町家(50年間空き家)を改修したもので、この地域独自の建築様式「かぐら建て」の再生・保存のモデルケースになっている。また施設では展示会や各種イベントなども開催しており、地域住民が集う場所としても機能している。

UDCSは、再生可能なまちづくりの拠点として全国的にも大きく期待されている。

「交響」によるまちづくりを目指す

まちづくりが目指すべき姿は「調和」よりも「交響」だ。都市ブランディングを形成するには、皆が同じ方向にまとまるのではなく、多様性を認め互いに高め合えるような、柔軟性のあるまちづくりを目指すことが大事である。UDCSは、まちの至る所で生まれるアイデアを引き立て実現へと導く即興的指揮者として、まちづくりや地域の人々をサポートするために、これからも密なコミュニケーションをとっていくつもりだ。

中島伸講師

福井県を縫うように流れる九頭竜川は、県をシンボライズする川。UDCSでは、この「九頭竜川」をキーストーリーに、これからのアーバンデザインや都市ブランディング戦略の展開を検討している。川の流れのように、地域に新しい流れを生み出せると期待している。

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