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ライフサイエンス
2022/08/08

研究を可視化し、未来のライフシーンを問う。これからのヒューマン・センタード・デザインとは?(後編)

  • 未来都市

東京都市大学では“未来都市研究の都市大”をコンセプトに掲げ、各領域で都市研究を重ねてきました。2020年度から2021年度まで研究分野として「ヒューマン・センタード・デザイン研究ユニット」が発足。本記事ではユニット長 都市生活学部 西山敏樹准教授、研究プロジェクトに協働したキワ・アート・アンド・デザイン株式会社の平賀俊孝氏、根本正樹氏にこれまでの研究成果と今後の展望についてお話を伺いました。(前編の記事はこちら)

2年間の振り返りと今後の課題

西山准教授:ヒューマン・センタード・デザイン研究ユニットは都市計画や工学、ユニバーサルデザイン、環境、住宅など都市にまつわる様々な分野を専門とするメンバーで構成されています。多彩な知恵を集結させ、あらゆる角度からアプローチして議論できたことは大変有益でありました。

また未来都市研究機構として活動する中で、外部の方々とお付き合いできたのも意義深いことでした。2021年に昭和女子大学と「誰もが過ごしやすく持続可能性のあるユニバーサルな未来都市デザイン」をテーマに学部間協定を締結し、両校の強みを活かして、SDGsのひとつである「住み続けられるまちづくり」を具体化させる研究と教育での連携を深めています。 

他にも企業様との共同プロジェクトを行うなど、様々な方面からお声がけしていただけました。これも地道に研究活動をアピールし続けたことが寄与したのではないかと感じています。研究のアピール活動の中で、一番影響があるのは「本」であると実感しています。正直なところ、論文は一部の人しか読みませんが、本は意外なほど読まれているんですよ。

FUTURE DESIGN 未来を、問う。

FUTURE DESIGN 未来を、問う。: 夢想が生み出すスペキュラティヴ・デザインと未来のつくりかた

学生を中心に大きな反響を呼んだのが、キワ・アート・アンド・デザインの平賀俊孝さん、根本正樹氏さんと書いた「FUTURE DESIGN 未来を、問う。夢想が生み出すスペキュラティヴ・デザインと未来のつくりかた」(クロスメディア・パブリッシング)です。“未来への可能性の選択肢”を求める方法をテーマとしており、スペキュラティヴ・デザインについて私が学術観点から解説させていただきました。

未来の都市生活のライフシーンを問うにあたっては、研究成果や生活者のニーズ、視点をプロダクトとして表すことが重要かと思います。今回取り組んだ「BOOTH」「Think Tank」のように、積極的に提示するべきと言えるでしょう。

都市研究は調査でデータを収集し、論文を書くだけは十分ではないと私は考えています。都市生活学部の研究では、生活のQOLが上がらないことには意味がありません。 “都市研究の都市大学”なので、都市を良くするためにも、今後は生活者と一緒に考え、行動することがますます大切になってくると思います。

反響を呼んだ書籍「FUTURE DESIGN 未来を、問う。」(2021年3月発売)

根本正樹氏:キワ・アート・アンド・デザインの根本です。この本はデザインの技法というよりも、思考方法に重きを置いて執筆しました。「スペキュラティヴ・デザイン」とは、元々はイギリスの美術系大学で研究されていたもので、頭の中で思考し続けて、形に落とし込むという考え方です。日本には7、8年前に入ってきました。スペキュラティヴ・デザインの重要な要素である“問い”を用い、未来への可能性の選択肢を求める方法を本の中で解説しています。デザイナーやアーティスト、学生だけでなく、デザインシンキングなどのビジネス手法に興味を持つ経営者に「未来はこうもあるのではないか?」という新しいヒントを投げかけました。

根本 正樹

未来の在り方について、多くの人は良い方向に行くとイメージしがちですが、スペキュラティヴ・デザインにおいては、悪い未来もあると考えるべきとされています。この本のポイントとしたのがその考え方です。かねてより、日本の企業や研究機関には未来を描く力が足りていないと実感していたため、出版するに至りました。

1986年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、2015年という未来に車が空を飛ぶシーンがありましたが、実際の2015年になっても車は飛ぶことはありませんでした。なぜ飛んでいないのかというと、そのような未来を誰も強く望んでいなかったからという論調で書いています。未来を描く方法にあたって、強く望むことは不可欠であり、これにより政策や税金面、メカニカルな部分の裏付けが成立すると言えます。つまり、1986年に車が空を飛ぶことを多くの人が強く望んでいたら、2015年には実現していたかもしれないのです。

前半には良い会社や社会をつくるための想像力はどう養うべきか、後半でその実践的な例を紹介しています。未来を描く活力や方法を見出せてもらえるような内容であると思います。

未来都市研究機構での研究活動で得た知見も説いたく、西山先生にお声がけさせていただいた次第です。有難いことに、様々な方面から評価していただけて嬉しい限りです。

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