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ライフサイエンス
2018/05/10

都市交通としての「バス」が抱える問題から見えてくるもの

  • 未来都市

未来都市研究機構では、5つの領域に分かれて未来都市をより良いものに創造する研究が進められています。5つの領域のキーワードは「インフラ・環境・情報・生活・健康」。今回は、その中でもデイリーライフサポートとして生活領域を担当し、ユニバーサルデザインやバスの安全対策にも精力的に取り組んでいる都市生活学部 都市生活学科の西山敏樹准教授にお話を伺いました。

西山 敏樹

「目指すのは、”最初から誰もが使いやすいもの”を作ること」

これまでの社会は、基本的に“バリアフリー化”を進める取り組みに力を入れていました。これは文字通り「バリアをなくす」ということで、今ある既存のものからバリアを除くことが主目的だったんです。例えば一時期流行ったような、普通のバスにリフトをつける取り組みが挙げられます。おかげで車椅子の方は確かにバスに乗りやすくなりました。しかし、従来の古い2ステップバスはそもそも1台1,500万円もしますし、リフトだけでまた1,500万、合わせると結局はバス1台に3,000万もの費用かかる。それではあまりに高すぎるので、「それなら最初から皆が乗れるものを作りましょう!」ということでできたのがノンステップバスなんです。

ノンステップバスには段差がないので、車椅子の人でも自分の力で乗ることができます。このように、“最初から誰もが使いやすいものを作ろう”というのがユニバーサルデザインとして一番大事なところなんです。エレベーターのボタンに使われている凹凸のある文字や、シャンプー容器のポンプについた突起も、“誰もが使いやすいもの”を意識したユニバーサルデザインの一例です。

西山 敏樹

ユニバーサルデザインは1985年にアメリカで提唱された概念で、研究が始まってからまだ33年しか経っていない比較的新しい学問です。日本では1974年頃からバリアフリーが謳われ始めましたが、ユニバーサルデザインの考え方は2000年を越えるまでなかなか入って来ませんでした。最近になってようやく、駅にエレベーターをたくさん設置することや、ノンステップバスを導入することが普通になってきたんです。

「地方都市の”買い物難民”のため、良い物が簡単に手に入れられる仕組みを」

我々はこのユニバーサルデザインの考え方と電気自動車を使って、“買い物難民”をサポートするシステムを作っています。特に地方都市では、交通が不便だったり高齢化が進んでいたりと、効率的に買い物に行けない人が多くいらっしゃいます。

西山 敏樹

その一方で、公共システムではバスの本数がどんどん減っているんです。この背景には、モータリゼーションで自家用車に乗る人が増えていることがあります。バスに乗る人が少なくなっていることで、地域の交通機関がさらに貧弱になっているんです。そのため、今までちょっとした近場の買い物にバスを利用していたような人たちが不便な思いをしている。バスの本数が減ってしまい、高齢者や障害者などの方の実生活に支障が出てきているんです。

こういった状況を改善するためには、良い物が簡単に手に入れられる仕組みを作ることが必要ではないかと考えました。その仕組みのひとつとして、新鮮な野菜などを購入できる新しい物流システムを提供しようと、この動画にあるような実証実験を始めてみたんです。

(西山准教授グループ「セレクト野菜ネットショップ」プロジェクト)

「都市交通としてのバスは、非常に大きな問題を抱えている状態」

実は都市部でもバス離れが進んでいます。バスには「今一体どこを走っているのか」や「あと何分で確実にバス停までやってくるのか」などが電車に比べて分かりづらいというデメリットがあります。東急バスなど都心のバスであればインターネット上でバスの位置情報を追跡できるものもありますが、現段階ではまだ“どこにいるか”が分かるだけです。不確実性の問題は解決されていません。さらに都市は混雑によって団子運転になっていたりすることが多く、正確な時間にバスが到着しないこともあるため、信頼性を失ってバス離れが起きてしまったんですね。

西山 敏樹

バス会社の赤字や、運転手の不足も影響しています。バス運転手の成り手が少なくなって高齢化と人材不足が進み、整備するスタッフも熟練工ばかりで若手が不足していくと、十分なバスの本数を確保できない。本数を減らさざるを得なくなると、利用者のバスの待ち時間が長くなりますよね。運行間隔が15分に1本程度が適切な場所でそれを越えてしまうと、利用者にとっては不便ですからバス離れにつながるんです。ある地域では、実際に運行間隔を30分から40分に伸ばしたことで一気に乗車率が下がってしまい、バスへの信頼が損なわれてしまう結果に繋がった事例もあります。

このように都市交通としてのバスは非常に大きな問題を抱えている状態です。これからは外国人を積極的に雇ったり、自動運転を導入したりすることも必要ではないかという議論にもなってきています。交通移動や物流問題について、もっと改善しなければいけない課題がある、ということが見えてきたわけですね。

(第二回インタビューへ続く)

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